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コンピュータシステムのシステム構成(コンピュータシステム)

学習のポイント

コンピュータシステムの処理形態による分類、集中処理と分散処理の違い、システム構成方式の種類と特徴、クライアントサーバシステム、各種の性能評価、障害対策、信頼性、稼働率、誤り制御について理解しましょう。

1. 処理形態による分類
システムの構成を処理形態から分類すると以下のようになります。
処理形態 形態 接続方式
バッチ処理 センタバッチ処理 オフライン
リモートバッチ処理 オンライン
リアルタイム処理 対話型処理
オンライントランザクション処理
リアルタイム制御処理
センタバッチ処理
バッチ処理とは、データをまとめて一括して処理する方法です。データを人手によって処理する方法です。
リモートバッチ処理
データを通信回線を利用してバッチ処理する方法です。
対話型処理
コンピュータと対話形式で処理を進める方式です。プログラム開発などに適していて、速い応答が要求されます。通常は、「TSS(時分割処理)」と言って、複数のプログラムに短い時間の実行権を与え、あたかも一人でコンピュータを独占しているような感覚で使用することです。
オンライントランザクション処理
オンラインで接続された端末から、センタのオンラインファイルのデータを更新する処理を言います。代表的なものとして、銀行のATMや座席予約システムなどがあります。
ACID特性」データベースを管理するために必要な機能。
原子性(A) 処理済か未処理かを明確にすること。
一貫性(C) テーブル間でデータが矛盾なく一貫していること。
分離性(I) 複数のトランザクションが相互に干渉することなく、各々のトランザクションの処理が正しいこと。
持続性(D) 更新したデータベースの内容が障害などて変化・消失しないこと。
リアルタイム制御処理
制御系のシステムで時々刻々と変化する情報をもとにして即時に計算処理を行い、その結果を制御システムに出力する方式。代表的なものに、航空管制システム、新幹線の運転制御などがあります。
2. 集中処理と分散処理
コンピュータの物理的配置により、集中処理と分散処理があります。
集中処理
1台のコンピュータに多数の端末を接続してそのコンピュータだけに処理を行わせるシステム形態です。
長所
・設備や人員を集中できるので効率的です。
・データの更新やセキュリティが1箇所で済む。
短所
・OSのオーバヘッドが大きい。
・ホストの障害がシステム全体に及んでしまう。
・バックログが溜まりやすい。
分散処理
ネットワークで接続された複数のコンピュータで処理するシステム形態です。
長所
・障害の影響が局所化できる。
・保守が容易。
・処理量が増えても少ない投資で対応できる。
短所
・データが分散していめため、データ更新に手間と時間がかかる。
・セキュリティ対策が重要となる。
・データの不整合が発生しやすい。
分散処理の構成には、以下の2種類があります。
1. 垂直分散システム
複数のホストと端末をつないだもの。ホスト・端末の主従関係がある。この形態の代表例として「クライアントサーバシステム」があります。
2. 水平分散処理
すべてのコンピュータが対等の立場でホストコンピュータとしてネットワークにつながっているシステム。
3. システム構成方式
システム構成のパターンは以下の種類があります。
シンプレックスシステム
オンライン処理で予備期を持たないCPU1個の構成です。処理能力は劣るが、経済的です。
デュアルシステム
オンライン処理で機器構成を二重化したシステム。2つのCPUで同じ処理を行います。2系統のシステムで行い処理結果をクロスチェックしながら処理を進めます。1つが故障した場合は、CPUを切り離しもう一方で処理わ行います。信頼性が高いが、高価です。
デュプレックスシステム
上記と同様に2系統であるが、一方が主系統としてオンライン処理用、もう一方を副系統としてバッチ処理などに利用します。信頼性はデュアルシステムより低いが、コスト面では有利です。
マルチプロセッサシステム
複数のCPUをもつシステムで作業を分担して処理する並行処理です。以下の2種類があります。
・疎結合型マルチプロセッサシステム(LCMP)
複数のコンピュータシステムが別々のOSで制御されるもの。
・密結合型マルチプロセッサシステム(TCMP)
主記憶を共有しながら同一のOSで制御されるみの。
ダンデムシステム
複数の専用のプロセッサを直列に接続した形態。
メッセージ処理専用のフロントエンドプロセッサ(FEP)、データベース管理専用のバックエンドプロセッサ(BEP)などから構成されています。
4. クライアントサーバシステム
クライアントサーバシステム(CSS)」は代表的な「分散処理」「垂直分散システム」で、クライアントは処理を依頼して、サーバは処理(サービス)を提供します
サーバの種類
「ファイルサーバ」「プリントサーバ」「データベースサーバ」「コミュニケーションサーバ」「Webサーバ」「メールサーバ」などがあります。
長所
・コストパフォーマンスが良い。
・拡張性が良い。
短所
・特定のサーバに処理が集中すると性能が劣化する。
・システム全体の性能は、ネットワークの性能に左右される。
CSSでは、階層により、以下の2種類があります。
2階層CSS
クライアントでユーザインタフェイスと加工処理(SQLの発行等)を行い、サーバではデータベースのアクセスのみを行うシステム。
3階層CSS
システムを「プレゼンテーション層(ユーザインタフェイス)」「ファンクション層(データの加工処理(SQLの発行))」「データベース層(データベースのアクセス)」に分けて、それぞれをクライアント、アプリケーションサーバ、データベースサーバで実行させるシステム。この場合、クライアントにブラウザを使用する場合が多いです。
5. 性能評価
システムの性能評価には以下のものがあります。
ターンアラウンドタイム
バッチ処理でジョブを投入してからすべての処理結果を受取るまでの時間。
処理待ち時間 + CPU時間 + 入出力時間
レスポンスタイム(応答時間)
オンライン処理で、入力装置から入力が完了して出力装置へ出力が開始されるまでの時間。
処理待ち時間 + CPU時間

スループット(処理能力)
単位時間内に処理できる仕事量。パッチ処理ではジョブ数、オンライン処理ではトランザクション数です。
命令ミックス
処理装置(CPU)の性能を評価するために基準となる命令の平均命令実行時間で表す場合、この基準となる複数の命令を命令ミックスと言います。以下の2種類があります。
コマーシャルミックス」事務処理用の命令ミックス
ギブソンミックス」科学技術計算用の命令ミックス
MIPS
1秒間に実行できる命令を百万単位(106)で表現したもの。事務処理用の指標。
FLOPS
1秒間に実行できる浮動小数点数演算の数のこと。科学技術計算用の指標。
ベンチマークテスト
標準的なプログラムの実行時間を測定して、ハードウェア、OSを含めた総合的なコンピュータの性能を比較・評価すること。
6. 障害対策
フォールトトレランス
障害が発生しても、システムを維持しようとする技術。
フェールセーフ
故障が発生しても、安全側に誘導する技術。
フェールソフト
故障が発生した部分を切り離し、性能が劣化しても処理を続行する技術。
フールプルーフ
不特定多数の使用者がいるプログラムで意図しない使用をされても故障しないように工夫すること。
ミラーリング
故障に備えて、2台のハードディスクに同一データを書き込むこと。
RAID
ディスクアレイ」とも言い、「磁気ディスク装置のアクセスの高速化や信頼性向上を目的として、複数の磁気ディスクを集めて1つの装置とする技術です」。以下の7種類のレベルがあります。
レベル 内容
RAID0 アクセス高速化を目的にデータを複数の磁気ディスクに分散して格納する。「ストランピング」ともいう。
RAID1 信頼性向上を目的に、同じデータを複数の磁気ディスクに同時に記録する。「ミラーリング」ともいう。
RAID2 信頼性向上を目的に、誤り訂正符号(ハミング符号)を生成して、データとは別の磁気ディスクへ分割して記録する方式
RAID3 アクセス高速化・信頼性向上のため、データをバイト単位に分割して複数のディスクに格納して(ストライピング)、エラー検出・訂正用の「パリティ」を1台の専用の磁気ディスクに記録する。
RAID4 RAID3と同様だが、データの分割をブロック単位で行う。
RAID5 RAID4と同様だが、データは、ブロック単位で、ストライピングして、パリティについてもストライピングする方式。
RAID6 RAID5を拡張し、パリティを2重にして、ストライピングする方式。
過去問題 平成27年春期 問11
解説
データを複数の磁気ディスクに分散して格納しています。これを「ストライピング」といいます。RAID0に該当します。
7. 信頼性
RASISとは、コンピユータシステムを安定稼動させるための要素です。

信頼性(Reliability) 故障が少ない。
可用性(Availablity) 稼働率が高い。
保守性(Serviceability) 障害箇所の発見が容易。
保全性(Integrity) データの矛盾が発生しない。
機密性(Security) 不正アクセスを防止。


バスタブ曲線」は、ハードウェアのライフサイクルの概念です。
初期故障期
装置の使い始めの故障で時間と共に減っていきます。
偶然故障期
装置の安定時期で、故障は余り発生しません。
磨耗故障期
ある程度の時間が経過した時に故障が増えていきます。
8. 稼働率
稼働率」とは、「RASIS」の可用性の指標の1つです。

稼働率=MTBF ÷ (MTBF+MTTR)

MTBF(平均故障間隔)
システムが故障せずに連続して動作する時間の平均値です。
MTTR(平均修理時間)
故障が発生した時に修理に要する時間の平均値です。
よって

MTBFを変えずにMTTRを短くできれば,システムの稼働率は向上する。

●稼働率の計算

直列システム」 A1×A2
並列システム」 1-(1-A1)×(1-A2)


過去問題 平成28年春期 問14
(解説)
・サーバの稼働率 a
・3台クライアントの稼働率はどれかひとつで良いため 1-(1-b)3
・2台プリンタの稼働率はどれかひとつで良いため 1-(1-c)2
上記の3つの直列システムのため
a(1-(1-b)3)(1-(1-c)2
となります。エが正解。
過去問題
ある装置の100日間の障害記録を調査したところ、障害が4回発生し、それぞれの故障時間は、60分、180分、140分及び220分であった。この装置の稼働率はどれか。ここで、この装置の毎日の稼動時間は10時間とする。
(解説)
稼働率は、(稼動時間-故障時間)÷稼動時間である。従って、
(10×100-(60+180+140+220)÷60)÷(10×100)=0.99
9. 誤り制御
「誤り制御」には以下のものがあります。
パリティチェック
データ中の「1」の個数が偶数または奇数になるようにパリティビットを付加します。それぞれ「偶数パリティ」「奇数パリティ」と言います。「1ビットの誤りが検出できます」。
水平垂直パリティ
磁気テープ装置などで「水平パリティビット」「垂直パリティピット」を付加して「1ビットの自動訂正が可能」です。
ハミングコード
主記憶装置で利用されています。データビットのほかにチェック用のビットを付加して所定の計算を行うことで「1ビットの誤りの自動訂正」が出来ます。
CRC(巡回冗長符号検査)
データのビット列を多項式とみなして生成多項式をもとに所定の手順でCRC符号を計算して「連続したビットの誤り(バースト誤り)の検出」が可能です。
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